「5年間、ずっと『なんか違う』と思いながら働いていました」
そう話すのは当時、事業会社で事業開発部の管理職として働きながら、2人の子どもを育てていたTさん。キャリアへの違和感を抱えたまま、気づけば5年という時間が過ぎていました。
一度は会社に「辞めます」と伝え、転職やフリーランスも本気で検討したTさん。
しかし最終的に選んだのは、「転職しない」という選択でした。なぜ、その決断に至ったのか。 そして、今なぜ「納得感を持ってフルスイングできている」のか。
キャリパト ベーシックコースを通じて起きた変化を、担当キャリア戦略家・森数美保とともに、率直に振り返ってもらいました。
コース:ベーシックコース
Before
・経営判断に納得できず、仕事に腹落ち感が持てない
・フリーランスという選択肢は気になるが、育児との両立に不安
・自分の強み・できることがわからず、自信が持てない
After
・「自分は何者で、何を積み上げたいのか」を言語化
・社内で複数の選択肢を冷静に比較し、条件交渉まで実行
・転職ではなく、自ら選んだ異動先で納得してフルスイング
ライフイベントが重なる中で積み上がっていった、言葉にならない違和感
Tさん
新卒でコンサルティング会社を経て事業会社に転職し、新規事業開発などに関わってきました。転機は、第一子の出産でした。育児を主に担いながら働く中で、仕事への向き合い方が変わっていきます。続けて第二子も生まれ、生活は「回すこと」が最優先に。仕事に大きくブレーキをかける状態が続きました。
「今の仕事に満足しているか」と聞かれれば、正直そうではない。でも、転職や独立を決断するほどの確信もない。気づけば、心の中に「なんか違う」という感覚だけが、静かに積もっていきました。
「辞めます」と言ってから始まった本当の迷い
Tさん
ある日、ふとしたきっかけで上司に退職の意思を伝えました。動かざるを得ない状況をつくらないと、何も変えられないと思ったんです。でも、その後が本当に苦しかったんです。次に何をしたいのか、どんな働き方を選びたいのか。言葉にできないまま、転職エージェントにも相談しました。条件は悪くない、でも心が動かない。
「転職が正解なのかもわからない。会社員という働き方でいいのかも、フリーランスになれるのかもわからない」40代に入り、残りのキャリアや将来の親の介護まで考えると、選択肢は増えるほど、どうすればいいかわからなくなっていました。
今でこそ言語化できていますが、私はミッションドリブンなタイプで、「なぜこの事業をやるのか」が腹落ちしないと「やりたい」と思えないんです。けれどこの時は、自分が何に違和感を感じているのかさえ、まだわかっていませんでした。
100%向き合ってほしい──そんな思いに初めて応えてもらえたキャリア相談
Tさん
キャリパトを知ったのは、森数さんの発信がきっかけでした。 Voicyやnoteを読んでいて、「そんな視点があるんだ」と思わされることが多かったんです。
転職エージェントであれば、キャリア相談は無料です。でも正直、無料の相談だと、お互い100%で向き合うのは構造的に難しいとも感じていました。「本気で向き合える関係性を選びたい」そう思って申し込みました。
意外と、キャリアの話を“ちゃんと”できる人って身近にいないとも感じていました。夫や友人に「専門性や強みはあるよ」と言われても、「家族だから」「友達だから」そう言ってくれているんでしょ、と思ってしまう。転職エージェントに対しても、「自社の案件に誘導するための言葉なんじゃないか」と、どこか勘繰ってしまう自分がいました。
森数さんは、経営者として事業づくりの現場を経験してきたからなのか、私の置かれている状況や背景を的確に理解した上で、現実的な視点で話してくれました。その一つひとつが、毎回すごく腹落ちして。これまでのキャリア相談では得られなかった感覚でした。
「できていない」という認知のズレ。ワークを通じて見えた強み
Tさん
印象に残っているワークのひとつが、「経験のピース化とラベリング(※)」です。
経験のピース化とラベリング:事前に受講者の経歴と仕事内容を書き出し、3つのラベル(好き、得意、ストレス)を貼るワーク。
私のワークシートには「ストレス」のラベルが多く貼られていました。でも森数さんに、こう聞かれてハッとしました。
「それ、本当に全部”嫌い”ですか?」
一つずつ見直していくと、成長の過程で感じるストレスと、心が消耗する(避けたほうがいい)ストレスが混ざっていたんです。企画業務もその一つです。本当は好きな仕事なのに、「自分より得意な人がいるから」と、無意識に「ストレス」だと決めつけていた。そんなとき、森数さんに言われたこの一言で、認識が切り替わりました。
「自分より得意な人がいても、得意って言っていいんです」
周りにオリンピック選手みたいに優秀な人がたくさんいて、自分を必要以上に過小評価していたんだ、と気づきました。強みが新しく増えたというより、すでにあったものを正しく見直せた。そんな感覚を得たワークでした。
ファクトベースの言葉が、未来の選択を支えてくれた
Tさん
セッション後に届くフィードバック文章も、大きな支えになりました。話した内容が整理され、キーワードとして返ってくることで、自分の思考を初めて客観視できたんです。
「現場をつなぐ役割にやりがいを感じている」
「数字がわかる事業をつくる人でいたい」
その言葉は、社内の面談や交渉の場で、自然と使えるようになっていました。
実は、キャリパト受講が始まってから、社内の体制に大きな変化がありました。選択肢が増えたと同時に、迷いも一層深まりました。そんな中、森数さんからもらったアドバイスは、判断の前提を揺さぶるものでした。
「役職は取り返しがつく。でも一度下げた年収は、戻すのに時間がかかる」
「何が成果として捉えられるのか、何が評価されるのかは押さえておこう」
未来はわからない。でも、「どの選択が“後悔を減らすか”」という基準を持てたことで、自分の希望条件を整理し、関係者と会話しながら方向性を作ることができました。「自分の力をファクトベースで認識する」「自分を低く見積もらない」というメッセージを何度も森数さんから受け取っていたおかげで、過度に卑下せず、事実として伝えることができました。
受講前は「自分には大した強みなんてない」と思っていた私が、自分の価値を正しく伝えた上で条件交渉できたことは、とても大きな変化だったと思います。
森数
キャリパトのプログラムは、 「自分を知る」そして、それを「他人に伝える」ためのプログラムです。実力以上に映えるPRをしましょう、という話ではありません。 「こういう事実があったから、Tさんはこれができる」——ファクトとして言っていいんだよ、という整理を何度も繰り返しました。
ファクトなら「できる」と言える根拠になる。Tさんはファクト重視するタイプだから、自分自身を整理できたことで、今回のような条件交渉でも伝えやすい状態になっていたんだと思います。
「辞めます」から一転——自分で選んだ“未開拓のフィールド”
Tさん
最終的に私は、転職ではなく、未経験領域への部署異動をすることになりました。
今は過去一番忙しいと思います。それでも、 5年間ずっと抱えていたモヤモヤと比べると、 今の忙しさはまったく質が違います。
自分企画書(※)としてこれまでの経験を整理したことで、今の仕事がどんな未来につながるのかを考えながら、目の前の業務に向き合えるようになりました。
自分企画書:「自分が何者か」を示すドキュメントで、転職時には職務経歴書にも活用できます。作って終わりではなく、定期的にアップデートすることで「自分が何者か」を語れる状態を保つためのものです。
今はまだ指示を受けて進める仕事が多いです。 でもそれを「言われたからやっている仕事」 とは感じていません。
「数字がわかる事業をつくる人になるための経験として、絶対に無駄にならない」
「たとえ指示から始まっていても、これは自分でこじ開けた道だ」
そう思えているからです。
転職するかどうかではなく、どこで、どうフルスイングするかを自分で決めた。今は、
「ここで腰を据えてやりきろう」 と、腹をくくれている感覚があります。
言葉にならない、答えが出ない人こそ頼ってほしいサービス
Tさん
「もっと早く頼ってもよかったよ」 と受講前の自分に伝えたいです。
これまでは、「自分が頑張ればいい」と思い続けてきました。今振り返ると、 苦しさの正体は「転職するかどうか」ではなかったと思います。「今の自分は、何を選びたいのか」それを言葉にできていなかったことが、 一番しんどかった理由でした。
一般的なコーチングは、すでにゴールがはっきりしている人が、そのゴールに向かうよう導くサービスが多い印象があります。一方でキャリパトは、 「やりたいことがわからない」 「何に違和感を感じているのかも言葉にできない」 そんな状態で立ち止まっている人のためのサービスだと感じました。
森数
自分の中に明確な答えがなくても、「今、どう行動すればいいか」「何を整理すれば前に進めるか」は、一緒に見つけられる。そういう人に合うサービスをつくりたいと思って、このプログラムを設計しています。
もし今、 「このままでいいとも思えないけれど、転職が正解とも思えない」 そんな状態にいる方がいたら。無理に答えを出そうとしなくていいと思います。 まずは一度立ち止まって、 自分の中にあるものを言葉にする時間を持ってみてほしいです。
担当キャリア戦略家からTさんへの謝辞:
Tさんは、ずっと真面目に考え続けてきた人だと思います。簡単に答えを出さず、「これで本当にいいのか」を何度も自分に問いながら、その場で踏ん張り続けていました。
私は、その姿を「迷っている」とはあまり感じませんでした。ちゃんと向き合い続けている人だな、という印象のほうが強かったです。セッションを重ねる中で、表情や言葉が少しずつ変わっていきましたね。その変化をすぐそばで見られたことを、嬉しく思っています。「美保さんがいてよかった!」と何度も言ってくれたことは、私自身にとっても、大きな心の支えでした。
今回の選択は、正解か不正解かで測れるものではありません。ただひとつ言えるのは、Tさん自身が納得して選んだ、ということ。それが何より大切だと思っています。これから先も、迷う場面はきっとあると思います。
でもすでに、自分にとって大切な軸がわかっているTさんなので、きっと大丈夫。「立ち止まること=後退」ではありません。
Tさんが自分で選び、決めて、進んでいくこと。そのプロセスそのものを、これからも信じていてください。心から応援しています。
まとめ
「自分に強みなんてない」と話していたTさんが、最終的に自分で希望の仕事を選び取り、納得して進んでいく姿は、とても印象的でした。違和感の正体を一つずつ分解し、強みをファクトとして捉え直し、それを他者に伝えられる形にしていく。 その積み重ねが、条件交渉という現実的な場面でも力を発揮し、最終的には「転職しない」という選択を、自分で納得して選ぶところまでつながっています。
「このままでいいとも思えない。でも、転職が正解とも思えない。」
そんな宙ぶらりんの状態にいるとき、必要なのは、無理に答えを急ぐことではなく、一度立ち止まり、これまで歩いてきた道を丁寧に振り返ることなのかもしれません。
とはいえ、一人で振り返るのは難しいものです。
「どう振り返ればいいのかわからない」「考えれば考えるほど、余計にモヤモヤしてしまう」——そんな状態で立ち止まっている方も多いはず。
もし今、答えが出ないまま立ち止まっているなら、まずは一度、頼ってみてください。あなたの過去から言葉を探すところからご一緒します。


